新しい歌を覚えたら、カラオケに行きたい。と思う事ってあるよね。では、この映画を観て、カラオケに行きたい、と思うだろうか?
「女の園の星」で人気の和山やま先生の漫画「カラオケ行こ!」の映画化。元は同人誌の1巻だけの作品。1巻だけで映画化って・・・
カラオケ行こ!
2024年 日本 107分 コメディ映画
あらすじ ネタバレとピーイチの意見を含みます。
ヤクザの若頭・成田狂児(綾野剛)が、合唱部の部長の中学生・岡聡美(斎藤潤)に目をつけて、カラオケの指導を頼む。
この突拍子もない設定は、単行本の表紙だけからも分かる。同じ作者の「女の園の星」が、くすっと笑える日常を描いてるけど、こちらは非日常っぽい。どう転んでいくのか?
映画版はやはり、ヤクザって怖そう。冒頭、狂児が雨の中、濡れたワイシャツから刺青が透けて見えてる。原作ではもっと軽い感じらしいけど、部活をさぼって中学生が反社会的勢力と、時には大勢の構成員と個室で過ごす。ヤバい傾向です。
そして、狂児が唄う曲は「紅」X(…JAPANと付く前) のブレイク曲。1988年発売。これって、今の若者がどれほど知ってるのでしょう。X JAPANがいまだに人気あるので、聞き返してて知ってるファンは多いだろうけど。出だし一節歌ってからの「紅だぁーーー!」の叫びは、どれほどお馴染みなんだろう。ライブでは定番だった叫びなわけだけど、当時、テレビで素人が「紅」歌ったとき、やったんだよ「紅だぁーーー!」爆笑だった。これToshiじゃないと(* >ω<)=3ーそうなっちゃうんだ。もう、今ではこの曲歌うときは、みんなやりたい一節になってるけど、当時のが、カラオケでやったら(笑)なネタだった。
この曲をうまく唄うなんて、なかなかできないよ。綾野剛が唄うわけだけど、カッコよくない。「紅だ―」→笑な感じ。ヤクザのみなさんは怖い見た目で、歌下手で、柔らかくなってる。みんなカッコ悪めで、いいんだ。綾野剛がみやぞんに見えてきたわ。
何で歌を練習するかって、組長審査のカラオケ大会のため。原作では、指導するシーンは無いらしいが、聡美が具体的な指導をしてる。従順に指導を受け、敬意を示す組員皆さん、いい人たちな感じ。声変わりでちょっと悩んでいる聡美くん役の斎藤潤くんも役にあってた。ヤクザにおどおどしながら、関西弁で時には強気発言。「室井慎次 敗れざる者」にも出てる役者ね。[少年]を演じられる時期は短いので、今のうちに観とくかな。
声変わりに悩み、合唱部を抜けて「映画観る部」でVHSで古ーい映画を観てる。プロジェクターにつないで、ちゃんとスクリーンで鑑賞。後輩が怒ってここに乗り込んで来て、勝手に巻き戻そうとする。あ、これ壊すな、ってすぐ分かった。代わりのデッキを手に入れる時に、狂児が頼りになった。ここで、巻き戻せない=声変わりは戻せない、ってメタファーも感じておきたい。
この聡美くんが気になって仕方ない後輩・和田も、面倒見がいい女子、副部長の中川さんも、中学生のわちゃわちゃ感が出てて、かわいいもんだ。「主演:綾野剛」となってますが、この物語は聡美くんの中学生活が話の中心。狂児とヤクザたちが危害を及ぼすことはない、と分かって観ると、安心して青春映画として観れます。
このまま、聡美くんは合唱コンクール、狂児は組のカラオケ大会、目指して練習する。同じ日に開催。そして当日、事態が転がる。聡美くんがバスで会場に向かう途中、狂児の練習に付き合ってた「カラオケ天国」の駐車場で事故。狂児のセンチュリーの横に車が突っ込んでる。担架で運ばれてく男、布に覆われてるけど血まみれの腕がはみ出て見える。
気になって、合唱コンクールそっちのけで、組のカラオケ大会「かつ子」に行く聡美くん。組長(北村一輝)が、「あいつは地獄に行った」って。[♪紅に染まった狂児を慰めるやつは居ない]ってことか。それでなんで、歌ってられんだよー。聡美くんブチ切れ。ヤクザを罵りまくり。それで帰れるわけはなく、、、組長「歌ってけや」となる。ここで初めて、聡美くん歌う。「くれないだーーーー!」声変わりで、カスレながら歌い切る。組員、絶賛。狂児も称賛!!!!?いるじゃん。血まみれで運ばれてったのは、狂児が返り討ちにしたヤクザだった。
そして卒業式、合唱部の皆さんと別れをわちゃわちゃ。映画観る部では、狂児のいた[ミナミ銀座]が都市開発で無くなることを知らされる。